実録不動産トラブル#11 最近の詐欺事例(なりすまし、偽造)〜K市の土地の売買代金4億円を詐取された事件〜
偽造技術は極めて巧妙
毎年何件か不動産の売買代金全額を詐取されたという事件が報告される(更に手付詐欺の件数は比にならない程多い)。
この事件でもやはり、権利書、印鑑証明書、運転免許証が偽造された。司法書士がこれを見破れなかった訳だが、現在では法務局でも偽造権利書を見破れるのは10件中5件程度であるという話もある。
今回の事件でもたまたま経験豊富な登記官が申請書に目を通したため発見出来たという事である。 どの点が根拠となったかについては掲載を差し控える。
怪しい取引の典型
今回の案件ではFukuda Legal News vol.1 「不動産詐欺事件はここに気を付けろ!」(https://www.fukudalegal.jp/12/post_38.html)に掲載した「怪しい取引の5要素」の内4要素までもが該当していた。
実体的な確認を怠った
これも同じくFukuda Legal News vol.1 に書いた事だが、現在は偽造技術が非常に発達し巧妙になっており、書類だけで詐欺を見破るのは極めて困難なため、前記した「怪しい取引」の場合には慎重に実体関係を調査する必要がある。
例えば事前に売主に自宅まで会いに行くなどだが、このケースではその点も怠っていた。
偽造対策
果たして偽造権利書、運転免許証を見破ることは出来るのか。今回のケースも含め、偽造権利書等を見破るのは一般人にとっては極めて困難ではあるがツッコミどころが全くない偽造書類というのも実は少ない様である。必ずチェックしなければならいポイントがいくつかある。この点もここでは割愛する。
ご興味のある方は個別に弊事務所までお問い合わせください(公開にする事によって独り歩きし、悪用される危険が全くないわけではないからです)。
決して遠い世界の話ではない
最近よく、「今時まだ地面師っているんですか」と聞かれる事がある。石川五右衛門の辞世になぞらえれば、「浜の真砂は尽きるとも世に地面師の種は尽きまじ」という事である。振り込め詐欺等々に比べれば件数は少ないから目立たないだけだ。
不動産関係、融資関係の方々には不動産詐欺事件が自分達には無関係であるとは決して考えないで欲しいのだ。
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