実録不動産トラブル#7 〜登記を信じて訴訟に巻き込まれた!−相続登記の無効〜
201X年X月X日、甲不動産会社から弊司法書士法人(FLC&S)は、A氏所有の不動産の購入を検討しているという相談を受けた。
登記簿をみると、相続を原因に売主A氏名義の所有権登記がなされている。
しかし登記から1か月少々しか経過していない(相続からも2ヶ月)。「真正取得性」(登記の真実性)に問題がある可能性の否定できないケースである(「不動産取引に潜む危険2」参照)。
そこでFLC&Sが確認手続をとる事とした。
□仲介事業者に依頼して売主から戸籍及び遺言書のコピーを入手。
□遺言は被相続人Xが共同相続人A、B及びC(いずれも被相続人Xの子)のうちの1名Aに対して当該不動産を相続させるという内容であった。
□遺言書のみから判断すると遺留分(※)を侵害している可能性がある
□以上から、B及びCに対する確認(Aが相続する事及び今般不動産を売却する事について異論がない旨の確認)を売主サイドに要請したところ拒絶され、しかも状況についての詳しい説明もなかった(遺言によって一部の相続人に相続させる事自体から相続人間の良好ではない関係が想像できる)ため、FLC&Sの助言に従い売買は中止となった
□当該物件は後日同業の乙不動産会社が購入したが、その後遺言無効(遺言者が遺言当時認知症で意思無能力であったという主張)の訴えが提起され、現在訴訟係属中である。
※遺留分=一定の範囲の相続人に一定の相続権を保証する制度。
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