実録不動産トラブル#2 買取られて間もない不動産はここに気を付けろ!

不動産を買い取って転売し、利益を上げるというビジネスモデル(「買取転売」)がある。ここでは所有権取得(登記)をしてから売却までの期間が短いのが通常である。
買取転売の場合でなくても買い取ってから転売するまでの保有期間が短い例は珍しい事ではない。
そして、不動産を買おうとする者にとって、売主の保有期間が短いものは保有期間が長いものに比べて「危険」が潜む可能性が高い。
なぜなら買取(所有権の取得)が真正に行われておらず(「真正売買性」がない)、トラブルの種を抱えていても期間が短いため表面化していない可能性があるからである。
買取が真正に行われていない(トラブルの種を抱えている)場合とは、次の様なケースである。 

1 所有者に虚偽の事実を告げてあるいは一定の事実を告げずに買い取った場合
・・取り消される(民法第96条、消費者契約法第4条)危険がある
2 所有者を脅迫し、あるいは強要して買取った場合・・取り消される( 同 )危険がある  
3 売主又は買主に錯誤がある場合・・売買が無効となる危険がある(民法第95条)。
  例えば、原野商法(詐欺・脅迫の事例ともいえる)。
では転売する事を隠して(自社が使うと言う等)買い取った場合は?
4 売主に行為能力がなかった場合・・売買が取り消される危険がある(民法5、9、13条)。
  例えば売主が未成年者や被後見人で、法定代理人の同意または代理がなかった場合
5 売主に意思能力がなかった場合・・売買が無効とされる危険がある
  例えば売主が認知症等で取引等についての十分な判断能力がなかった場合
6 売買契約が解除されていた場合(民法540条〜)
  例えば売買代金が支払われていない等の契約違反があり売主が解除を申し立てて訴訟になっている場合
7 そもそも売買契約自体が全く存在しなかった場合・・登記は無効であり権利も取得し得ない
  例えば偽造書類や不正入手した書類等を用いて所有者の関知しないところで登記を行った場合

これらの危険性はもしこの様な事実があった場合買取の契約自体が遡って効力を失う可能性があるということである。
但し、訴訟となれば最終取得者は保護される(勝訴する)可能性があるケースも少なくはない。
しかし裁判で勝てるから「危険」がないというものではない。「危険がある」とは訴訟を提起されること自体(仮処分や仮差押え等をされる可能性もある)、あるいは何らかの金銭的な要求やクレームになる可能性があるということである。

ではこの様な危険を回避するためにはどうすればよいか? それはまた次号以下で! 

 



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