Q1 「新・中間省略登記」とは一体何か。2009年5月5日執筆
今さら聞けない新・中間省略登記 〜「新・中間省略登記が図解でわかる本」(住宅新報社/2010.4初版第1刷、2015.10第6刷)の原稿より
Q1 「新・中間省略登記」とは一体何か。2009年5月5日執筆
A1 流通税削減の代替手段である。
「新・中間省略登記」のポイントを端的にまとめると次のようになる。
1.流通税削減の代替手段である。
2.かつて行われていた中間省略登記と同一の目的を有する。
3.内閣総理大臣の諮問機関「規制改革会議」の手によって「再生」された。
4.目的は「不動産の流動化と土地の有効利用の促進」。
5.平成18年(2006年)政府承認。
6.日本の不動産取引市場の「第三者介在型取引」の様々な場面で活用可能。
7.契約で取り決めることによって行われる。
以下、それぞれについて簡単に説明する。
1.流通税削減の代替手段である。これに関しては項を改めて説明したい。
2.かつて行われていた中間省略登記と同一の目的を有する。
「中間省略登記」(「旧」中間省略登記)とはどんなものかについて、詳しくはQ2で説明するが、ここでは「不動産取引における流通コスト削減手法」であるとだけ説明しておこう。
「中間省略登記」による「流通コスト削減」は、2005年(平成17年)の不動産登記法改正によって事実上封じられる形になったが、「新・中間省略登記」は「中間省略登記」に代わってその目的を実現するために考案された手法である。
その手法自体は「中間省略登記」とは全く異なるものであり、私達はこの手法に「直接移転売買」という名称を与えたが(日本司法書士会連合会もそれに倣って「直接移転取引」と呼んだ)、この名称は残念ながら未だ十分に普及していないため、より親しみのある名称としてこの「新・中間省略登記」を用いる事にした。
3.内閣総理大臣の諮問機関「規制改革会議」の手によって「再生」された。
「再生された」というのは、一時「死んでいた」手法に最初に国家的な承認を与えたたという意味である。「新・中間省略登記」は、平成18年(2006)年12月、当時の「規制改革・民間解放推進会議」(内閣総理大臣の諮問機関)によって、公認すべきである旨の答申がなされ、内閣はそれを承認する閣議決定を行った。
4.目的は「不動産の流動化と土地の有効利用の促進」。
これは上記答申で述べられていた言葉であるが、要は、「中間省略登記」及びそれに代わる「新・中間省略登記」が、不動産流通コストの削減を通じて不動産取引を活性化し更に土地の有効利用の促進に貢献するという、極めて社会経済的に意義の高いものであるということである。
5.平成18年(2006年)政府承認。
これは上記の通り、規制改革民間解放推進会議(当時)が答申を行い、それを受けた閣議決定が行われた年である。
6.日本の不動産取引市場の「第三者介在型取引」の様々な場面で活用可能。
この手法は日本の不動産取引市場における様々な場面で活用できる。筆者は全国での講演や新聞をはじめとする各種メディアでの情報発信など、この手法の普及活動を通じ、この手法が予想を超えた多くの場面で有効活用できることを知り驚いている。
7.契約で取り決めることによって行われる。
この手法は、実に簡単なものである。当事者が契約で取り決める、ただそれだけの事である。
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