機関設計

機関設計

株式会社の機関とは、会社の意思決定や運営・管理をする機構や地位のことです。株式会社の機関として、(1)株主総会、(2)取締役、(3)取締役会、(4)監査役、(5)監査役会、(6)会計監査人、(7)会計参与、(8)委員会、(9)執行役などがあります。
株式会社は、機関設計の最低限の規律を遵守しながら、この中からそれぞれの会社の実態に応じて必要な機関を選択し、組織を構成することができます。

旧商法では会社の必要的機関であった取締役会も、会社法では各会社が設置・非設置を選択できるようになりました。取締役会の設置・非設置により、株式会社には以下のような違いがあります。なお、公開会社、監査役会設置会社または委員会設置会社は取締役会を設置しなければなりません。
    取締役会設置会社 取締役会非設置会社



株主総会の権限 法定事項のほか、定款で定めた事項に限り、決議することができる。 法定事項のほか、会社の組織・運営・管理その他一切の事項について決議することができる。
書面投票等を行わない株主総会の招集通知の発出期限 公開会社:2週間前
非公開会社:1週間前
定款で定めて1週間からさらに短縮が可能
書面投票等を行わない株主総会の招集通知の方法 書面または電磁的方法 制限なし
株主の議題提案権の行使要件 1.総株主の議決権の1/100以上または300個以上の議決権(定款による引下げ可)が必要
2.総会の日の8週間前までに行うことが必要
制限なし
株主の議案提案権の行使要件 1.総株主の議決権の1/100以上または300個以上の議決権(定款による引下げ可)が必要
2.総会の日の8週間前までに行うことが必要
総会の日の8週間前までに行うことが必要
議決権不統一行使の事前通知 必要 必要
定時総会の招集通知の際における計算書類等の提供 必要 必要
機関設計 大会社以外でも監査役か会計参与の設置が必要 監査役等の設置は任意

取締役の員数 3名以上 1人以上
業務執行権限 代表取締役及び
業務執行取締役
各取締役
株式の譲渡制限 自由 発行するすべての株式につき、譲渡制限が必要
  中間配当の実施 不可

取締役を1名にできると聞きましたが、どうしたらいいですか?

会社法の施行に伴い、非公開会社では、取締役が1人の株式会社とすることができます。従来は、形式的に員数を確保するため、名目的な役員を置いていたというケースが多くありましたが、実体にあった役員構成とすることが可能となりました。

会社法施行前に設立した株式会社は、「取締役会設置会社」及び「監査役設置会社」である旨が登記官の職権により登記されます。また、この旨は定款に規定があるものとみなされます。取締役1名の株式会社にする場合には、この定款規定を株主総会決議によって廃止しなければなりません。

また、「株式の譲渡制限に関する規定」がある会社でないと取締役会設置会社である旨の規定を廃止することができません。この規定は一般的に「当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を要する。」と定款に記載され、登記されています。取締役1名の株式会社には、「取締役会」がありませんので、定款変更し、承認機関を「株主総会」や「代表取締役」に変更する必要があります。

なお、監査役は監査役を置く旨の定款規定廃止の効力が生じた時に任期満了により退任しますが、取締役には取締役会を置く旨の定款規定廃止の決議後に辞任していただかなければなりません。

よって、会社法施行以前に設立した株式会社が、取締役1人の株式会社へ変更するためには、以下の登記申請が必要です。

(1)取締役会設置会社の定めの廃止の登記
(2)監査役設置会社の定めの廃止の登記
(3)取締役及び監査役の変更の登記
(4)株式の譲渡制限に関する規定上の譲渡承認機関が「取締役会」となっている場合には、
 承認機関の変更の登記

この登録免許税は、7万円(資本金1億円超なら9万円)です。登記申請を司法書士に依頼する場合には別途報酬が必要になります。


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